4月21日、奈良県葛城市の當麻寺に行きました。目的は、牡丹を撮影するためでした。5月14日の第38回演奏会で北原白秋作詩、多田武彦作曲の「白き花鳥図」を演奏するのですが、そのプログラム冊子の中に牡丹、しかも白牡丹を掲載したかったからです。白き花鳥図の白秋の詩では、「白鷺」(白鷺という名前の鳥はいません、ダイサギやコサギ等のサギ類)、「鮎鷹」(別名コアジサシ)、「数珠かけ鳩」、「老鶏」といった鳥の名前、そして唯一「白牡丹」が曲の題名になっています。サギ、コアジサシは、ご近所の愛鳥家で全国各地で写真撮影をされている方から写真をいただくことができたのですが、牡丹の写真が手もとにないので、撮影をしにどこかに出かけたいと思いました。そもそも牡丹の咲く季節や場所を知らないのでインターネットで検索し、有名な場所を知り、偶然ですが今が丁度見ごろの時期ということで、比較的近い當麻寺に昨日出かけたわけです。當麻寺は近鉄東大阪線の當麻駅から歩いて10分ほどのところに有ります。道のりも平坦で,當麻の境内も楽に歩けるようなところです。その奥院の浄土庭園に植えられた牡丹が有名で、白はもちろん、黄色や赤紫の多種の牡丹が植わっていています。5月上旬までが見ごろのようです。あとで選択するに苦労しそうなぐらい、50枚ほどの写真を撮りました。
さて、その帰り、お寺の参道の門からすぐのお土産屋さんに立ち寄ってよもぎ餅を購入しました。店主の80歳ぐらいのおばあさん方からよもぎ餅を手渡される際に注意することがありますと一言あったのです。そして後に話されたお話に惹かれたのです。
それは、こないだ来られた女性のお客様に「食べたらほっぺたが落ちますよ、注意してください」とお話されたところ、その女性の方が「ほっぺたが落ちたら新聞社に連絡しますよ」とおっしゃったそうです。「私のような年寄りの戯言に合わせてくださってありがたく思いました」とのことでした。とっさのことで、私は「そうですか、私はほっぺたが落ちたら電話します」と答えたところ、「電話番号は、よもぎ餅に包装に書いてあります」と応じてくださいました。ほほえましいひと時を過ごせたのですが、それから當麻駅に向かって歩き出してすぐに、あ~しまったと思いました。なぜなら、そのご老人に今日の當麻寺に来た目的をお話したら、おばあさんの戯言の引き出しに一話を追加できたかもと思ったからです。
『おばあさん、今日、當麻寺に来た目的は牡丹を見に来たんです。私は合唱が好きですが、今度ね、北原白秋の作詩の曲を歌うんです。それにに「白牡丹」という曲名があるんです。」とね。
店主のおばあさんと、牡丹に関するお話ができたかもと後悔したのでした。
気を取り直して、當麻寺の駅に向かい、駅のすぐ横にあるお店で「中将餅」も買って電車に乗りました。
よもぎの餅がこし餡で包んであって、甘く、よもぎの香りも口に広がりおいしいお餅でした。ちなみに
おばあさんのお店のよもぎ餅は「けはや餅」で粒あんをよもぎ餅でくるんんだお餅です。粒あんが好きな私はこちらも好きです。