ファイザー製のmRNAワクチン接種が医療関係者から開始された。4月中旬から65歳以上の高齢者に接種が始まる。mRNAワクチンを開発に貢献した人はだれなのか?興味をもった。
その一人がハンガリーのソルノク出身、66歳のカタリン・カリコである。
仏「ル・ポワン」紙が彼女にインタビューした記事が、https://courrier.jp/news/archives/235501/?utm_source=feature_ctc&utm_medium=textlink&utm_campaign=articleid_224111に上がっている。
+++以下その記事の抜粋
彼女は、mRNAワクチン開発の偉大なパイオニアの一人である。逆境にも負けず、この革新的な方法を信じ続け、ファイザー、ビオンテック、モデルナの超迅速なワクチン開発・実用化を可能にした。
ずは、ハンガリーの共産主義から逃げることが必要だった。「お金を持って出国すると思われないように、娘のクマのぬいぐるみに少しのお金を隠しました」。
アメリカに着き、フィラデルフィアのテンプル大学を経て、5年後にペンシルバニア大学に辿り着いた。
当時、流行していたのはDNAの研究だった。だが彼女は、その操作はあまりに危険だと判断し、研究費を申請しながら、RNAの研究に没頭することを選んだ。その結果、彼女は役職を降格させられ、不遇の時代を過ごすことになる。
「カタリン・カリコはスーパースターです。私は、彼女の集中力、倫理観、予想外のことを成し遂げる能力を目の当たりにしてきました」と、ニューヨークにあるレノックスヒル病院の神経外科長デヴィッド・ランガーは語る。
多くの人が、彼女が将来ノーベル賞を手にすると見ている。2013年に、ドイツのビオンテック社の立ち上げに参加しながらも、彼女は変わらず研究に夢中であり、世界中の研究者との交流を続けている。「世界の状況をより良くできるなら」という思いがあってのことだ。
各自が彼女のように自信をもってワクチンを接種するならば、それもあり得るだろう。彼女はすでに12月18日と1月8日に、ペンシルバニア大学でワクチン接種を受けた。「私はいま、94パーセントぐらい守られているということです」。
「夏までにはコロナウイルスに勝利しているでしょう」
──あなたの技術を使ったワクチンが大きな効果を示したとき、どう感じましたか?
驚きませんでした。私たちの動物実験は、ジカ熱、インフルエンザ、エイズまで多岐にわたっていましたが、それらが信じられないぐらい上手くいっていたので、単純かもしれませんが、成功を信じて疑いませんでした。コロナウイルスのことをよくわかっていなかったというのもあるかもしれません(笑)。
──あなたのおかげで、人々はまた外出して人と会うことを夢見ています。
私のおかげだけではありません。それに、ペンシルバニア大学の研究者ノルベルト・パーディやドリュー・ワイズマンといった、私たちのチームを支えてくれた人々だけの成果でもありません。
ビオンテック、モデルナ、ファイザーの研究員たちの力も偉大でした。本当に多くの人々が関わっています! この点は強調させてください。彼らの才能や専門知識は、ワクチンを完成させ、治験を早め、流通を保証するために必要不可欠でした。
ビオンテックのウグアー・シャヒンCEO、モデルナのステファン・バンセルCEOには先見の明があり、彼らは2020年1月から何かしなければならないと考えていたのです。
──私たちは「以前のように」生活できるようになりますか?
私たちの生活は普通に戻ると思います。夏までには新型コロナウイルスに勝利しているでしょう。ワクチンへの抵抗感が計画を遅らせることを危惧していましたが、いまのところ問題はそれよりも、ワクチンが不足していることですね。
──しかし、変異株がまた私たちをふりだしに戻すことはありませんか?
mRNAワクチンは2種類の免疫反応を導きます。1つ目が体液の反応「液性免疫」です。「抗体」がウイルスを捕獲し、ウイルスの表面にある「スパイクタンパク質」と結合することで、細胞内へのウイルスの侵入を妨げます。
2つ目は細胞の反応「細胞性免疫」です。T細胞(Tリンパ球)が、感染した細胞の表面にある、ウイルス由来のスパイクタンパク質の微小片を探し出し、細胞を破壊します。
イギリス型、南アフリカ型、ブラジル型などの変異株は、抗体による捕獲を逃れるかもしれませんが、T細胞からは逃れられません。
ですから、変異株もmRNAワクチンが引き起こす免疫反応を逃れることはできないでしょう。私たちは、イギリス型変異株が、mRNAワクチンを接種した人の血清によって無力化することも示しました。つまり、イギリス型変異株は抗体反応も回避できないということです。
(以下割愛)