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Utar Wows 「天童の蔵王」2015年12月

Utar Wows 「天童の蔵王」   
 
エピソードIV  「新たなる蔵王」~あらたなる希望

時は、2015年12月19日、鈴木先生、亜子先生と総勢37名の京男戦士は、何時も頼りになる京男女子軍の皆さんと共に、東北初演となる男声版蔵王を引っさげ、伊丹から仙台空港へ向かう。仙台からはバスで奥羽山脈を超え天童市へ、車中では、「あれは蔵王とちゃう?!」「いや、あっちが蔵王やで!」と蔵王を探すがフォースに導かれる者はいない、しまいには「こっちが蔵王だと表示せい!」と関西人らしからぬ邪悪な声がこだまする。そんなこんなでやっと宿泊先の「ホテル王将」に到着した。天童市は、将棋の駒作りでも有名で、ホテルのロビーには大きな王将の駒が飾られていた。

ホテルに着くやいなや、下調べしておいた近くのそば屋さんに行き、山形名物の蕎麦を一足先に味わう。ホテルの向かいには将棋の駒屋さんがあったので覗いてみる。「王将」以外にも、馬の字を逆さに描かく「逆さ馬(左馬)」もあり、それらの文字が彫刻された駒の携帯ストラップやキーホルダーを土産に購入された方も多かったのではなかろうか。

やっと、始まった前夜のお楽しみ宴会、幹事役の守さん他バリトンの皆様ご苦労さまでした。来てくださった天童市市民文化会館の館長さんは、同志社大卒、蔵王のお膝元、山形天童に京都に縁のある方がいらっしゃるとは奇遇だった。

May The Force be with you.

◆エピソードV  「定刻の逆周」~帝国の逆襲

翌20日、コンサート当日、京男戦士K本さん、井さんら先発隊名は定刻時にロビー集合し、市民文化会館へ移動した。私はスマホ忘れに気づき部屋に戻った。急いで、皆さんに合流しようと会館へ向かったが、追いつくはずの会館前、待っていたのは青春18きっぷを利用し急遽参加してくれた感謝すべき戦士藤さん、「あれ!先発隊は着いていないの?」、なんと私が先に到着していたのであった。事前配布したホテルから会館までの案内図も役立にたたず逆周りしたらしい。

◆エピソードVI  「事態の収拾」~ジェダイの復讐

この調子では、他の団員も迷うかもしれないと戦士部さんにお願いし、なんとか10時過ぎには全員が会館に集合できた。

会館階に用意された控え室で、地元の合唱団の方々が用意してくれた飲み物やりんご、ラ・フランス(西洋梨)に舌鼓を打ちながら、蔵王の暗譜に集中する。その時、思わぬ事態が生じていのだ。周りを眺めると、バリトン戦士の中さんがいないことに気づく。携帯に電話すると、まだホテルの部屋でくつろいでいるとのこと。ホテルへ取って返し、中さん他、原さん、地さん名を救出した。

◆エピソードVII  「ホールの拡声」~フォースの覚醒

11時から12時までのリハーサルは、ホールの響きを感じるいい体験になったが、やはり皆さん昨夜の酒の影響か、私自身は暗譜が不十分で不満足な状態だった。

13時からいよいよコンサート開演、地元の合唱団によるステージを聞きたかったが、そんな余裕もなく暗譜三昧、14時過ぎには舞台袖に集合し、いよいよステージに立つ。観客も思っていた以上に入りドキドキ。しかし、冒頭で挨拶に立ったベースのマスター田さん、さすがです!ご当地話、将棋や美人話等交えての絶妙なフォースで観客を導き、掴みOK。そして、その空気のまま、鈴木先生の一振りで「万緑充てる蔵王蔵王~」の第1声。ホール全体に拡がる声、その時観客の心の反応を感じた。そんなこんなで、無事に蔵王を歌い切り、アンコールの夕焼け小焼けのppの響きの空間に再突入、あなたに会えて良かった~あの鐘をならすのはあなた~手拍も入り、皆様から満場のこころのこもった拍手をいただきました。途中から、完全に涙腺は弛みぱなし^_^;。演奏終了後は、階のホールに集合しお別れのセレモニーでした。年を感じさせず若々しい歌声でしたと嬉しい好評を聞き、本番に強い京男の底力を発揮できたようです。おまけは、切り札の京男の乾杯の歌を披露。最後の最後にホールの出口で皆さんが手に手をとってアーチをつくってくれました、その下をくぐることになった演出には、また涙をこらえなくてはならなくなった。

感動の余韻を胸にしまい慌ただしく着替えを終え、帰りのバスに乗り込み仙台空港へ向かった。21日帰りの「蔵王ロイヤル軍団」17名は途中で解散し(暗黒の世界に放り出された軍団は、その時、蔵王のジェダイに助けられ、難民状態の危機を脱したそうである)、残り18名は19時半頃には機上の人となって一足先に伊丹に帰還した。翌21日帰阪組の無事到着の連絡をもって、今回の天童遠征は素晴らしい思い出とともに、終了した。

「フォースと共にあれ」

天童の皆さま、心温まるおもてないしありがとうございました!

◆エピソード IIII

昨年の記念定期演奏会終了後、京男戦士数名がニューエビスノにひそかに集まった。その時以降、委嘱曲蔵王にかかった費用の元を取るための演奏会探しが始まった。ついに、「蔵王をもっと歌いたい、そして歌うなら蔵王の懐で」の念願が叶い天童への遠征の企画が実ったのである。 

◆番外編 Utar Wows フォースの覚醒

不思議だ!たった2日間の演奏旅行、ステージで湧きあがった感動はなぜ?水口さんがFacebookに投稿された当日の演奏を聴くと、なんとなく合点がいく。蔵王の地元で蔵王を歌う、鈴木先生が今回の遠征の前に何度もおっしゃっていた意味。その懐でしか味わえない蔵王という山の存在、そこで歌いたいという情熱があってこその反応の結果だと思う。

・・・チャンチャーン、チャチャチャチャーンチャーン・・・・・・・

 

最後に、この物語はフィクション&ノンフィクションである。